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• 中立都市レハ

中立都市レハ

　かつて、ビステム王国の王都シリアム=ビストは"レハ"という都市国家だった。446年にビステム王国が成立したとき、王政移行に反対した人々は王国となった自分の故郷を去り、近隣に新たに都市を築き始めた。そして、その都市の名として、失われた自分たちの故郷の名を与えたのが、現在のレハという都市の始まりである。そのような経緯からか、ビステム王国とも深い関わりがある。

　初代のビステム国王ニスは、新たな都市建造という動きを特に咎めることも無かったため、かつてのレハと同じように、この都市では住民たちの中から"参事"と呼ばれる代表者が何人か(そのときにより変わるが大体10人前後)選出され、都市の運営を決定する機関を構成している。

　ニス王は この新たなレハにお忍びでたびたび訪れていたらしい。暗殺された場所も、王都とレハを結ぶ街道であったことからも、そのときもレハを行き来する最中であったと考えられている。
　レハはニス王の暗殺には関与していないことをビステム王国側に正式に伝えており、次王エドも、レハの人々に責を問うことは無かった。結局、ニス王が暗殺された目的や首謀者については、分からずじまいのままであるが、それはエド王があまり積極的に父王の死の理由を追求しようとしなかったからでもある。このため、エド王による暗殺か？と囁かれることもあったらしい。

　三代目の国王リドは幼少期をレハで過ごしている。これは彼がエド王の嫡男ではないことが理由である。ただ、エド王は病没するまで、王妃との間には一人の王女しか生まれなかった(エド王が病没した後、王妃は跡継ぎを埋めなかったことを悔いて自害している)。このため、リドが次期国王として即位することになり、残された王女は大公ユンドル=デモンドの正室として迎えられた。
　リド王が南方への侵略を開始したとき、参事たちは今後の対応を討議し(掴み合いの大騒ぎに発展したとも言われる)、臣従ではなく中立を宣言すると決定した。そして、その決定をリド王に伝えた。容易に認めることは無いとも思われたが、リド王は さほどたたずにこれを認め、レハは以後中立都市として知られることとなる。
　この件に関しては「リド王も自分が生まれ育った町は特別扱いするのだろう」と人々は感想を漏らしている。

　現在、レハにはビステム王国の治世に疑問を持つ者が集まっているともいわれる。リド王がそのことを知らないわけは無いが、特に表立ってレハに何かを働きかけることはしていない。王国軍がレハに駐留するようなことも無い。
　毎年 "参事"の選出は繰り返されており、レハの自治は現在も守られている。都市としての機能が停滞するようなことも無いが、ビステム王国が勢力を伸ばしている今、あまり目立つようなことは避けようとする傾向が強い。

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