幻想世界リアスターグ/地理/南方/オッフレング王国

幻想世界リアスターグ ＞ 地理 ＞ 南方 ＞ オッフレング王国

• オッフレング王国
  • 統治体制
    • 国王
    • 虹の傭兵団
    • 司尚
  • スラス・キャスラング と 魔族フィリップ
  • 主な都市
    • シリアム=オッフレング
    • セルナーテレス
    • ヌーヘルス
  • 主な組織・機関
    • 月下美人

オッフレング王国

　フィリップと呼ばれる魔族と長年にわたって戦う王国。そのために国力を挙げて神剣ワレムを鍛えた。ワレムは国王に受け継がれたが、剣自身に認められなければ抜くことすらできないという難物だった。
　500年に入ってフィリップにより、オッフレング王国の血を引く者は全て倒された。だが、王家とは何の関係も無いはずなのに、ワレムを自在に扱えるという若者が現れたことで、きわめて異例ではあるが その若者を王として迎え 新しい王国として生まれ変わった。

　その王の名はケリングで、後に"剣王"と呼ばれる英雄となる。ディス公国のマリエル公とは冒険者として共に戦い、恋仲であることが知られている。いずれは婚姻の儀を終えて、オッフレング王国とディス公国はひとつになるはずだが、その前にビステム王国という北の脅威に立ち向かわなければならない。

統治体制

　国王親政が敷かれる。現在のケリング王はかつての王家の血を一切引いておらず、そもそも支配者としての知識なども無い。だが、周囲の補佐と、彼の中に眠っていた為政者としての能力が目覚めて、立派な国王として認められている。

　異例の事態によりケリングは国王として即位したため、これまでの国家体制や慣例とは大きく異なる状況も多く発生している。最終的にどのような制度とするかはケリングの裁定を待つしかないが、まだはっきりとしていないことも多いようだ。

国王

　王国の最高権力者。軍事内政の全権を持つ。神剣ワレムを継承する立場でもあったが、逆にワレムに認められた者が国王として立つ、という風に制度が変わる可能性もある。このため、世襲となるかどうかも分からない。状況としては"槍の審判"が行われる帝国と似ているが、ワレムは命を落とすような継承の儀式があるわけではない。
　また"虹の傭兵団"の団長の立場でもある。ただし、これもケリングが個人的に結成した騎士団であるため、今後の国王に同様の立場が求められるかどうかはまだ定まっていない。

　オッフレング王国という国家自体は、ガーランド戦役以前から存在しており、比較的古い国家だった。ただ、ケリングの前でその血筋は絶えたが、その事情については"スラス・キャスラング"の項目を参照のこと。
　ケリングが即位したことで、これまでとは違った王国になろうとしているし、国王の立場も少しずつ変わっている。

　ケリング即位以前から国政に携わっていた重臣たちは、ケリングを補佐する立場を多かれ少なかれ自認している。ケリングも自分に分からないことが多いことはわきまえている為、特に内政に関しては家臣の意見をよく聞いている。ただ、その視点は非常に優れており、家臣たちも最初ほどうるさく言わなくても、ケリング王は国を治めることができるのだ、と分かり始めている。

虹の傭兵団

　ケリング王が即位後、個人的に組織した騎士団。正当な王国の騎士団であり、正規軍でもあるが、王の意向で「傭兵団」と称されている。その理由は、部隊練成の目的からも近隣から出動要請があれば、積極的に出向いて戦っているからである。
　団長はケリング王自らが務めており、周囲が止める声も聞かず、ワレムを片手に前線で戦い指揮を執っている。それは確かに危険と隣り合わせでもあるが、光を発するワレムを見たときの兵の士気高揚効果は相当なものであり、戦乱の避けられない世の中では これも止むを得ないか・・と、周囲も半ば諦めかけている。

　ビステム王国との戦いは、もはや避けられない状況であり、それに備えて戦闘部隊としての力を少しでも付けたいというケリング王の意思により、このような活動を行っている。また、フィリップの脅威も決してなくなったわけではないから、魔族との戦いの経験も大いに必要である。
　・・・というのが大義名分で実際 その目的もあるのだが、本音は退屈な国王としての生活から抜け出し鬱憤を晴らす場所・・・なのかもしれない。

　かつての王国騎士団は完全に 虹の傭兵団に取り込まれている。誰でも志願すれば所属できるため、名を上げようとする戦士がオッフレング王国を訪ねることも増えてきた。
　名前は"傭兵団"だが、個々人が自らを"オッフレング騎士"と名乗ることは認められている。以前から騎士団に属していた者は そう名乗ることが多いが、新たに傭兵団に入った者や、ケリングに心酔する者は 進んで"虹の傭兵"と自らを名乗ることが多いようだ。

司尚

　ケリング直属で各分野を担当する責任者。
　政務司尚(行政全般を統括)・財務司尚(経済と税務を統括)・法務司尚(司法と裁判を統括)・民務司尚(領内の維持管理) という４官が国王によって任命される。それぞれの分野において国王を補佐し、国王の決定があれば それに従って、下部組織を動員して国を動かす。

　王都には各司尚が"司台"と呼ばれる役所を構えており、そこで通常の執務を行う。また、主だった王都以外の都市には、それぞれの出先機関である"準司台"が設置されており、その都市内での実務が執り行われている。
　政務司台には国外周辺地域の情勢調査、財務司台には国外組織機関の国内における動向調査、法務司台には各司台の監査、民務司台には国内の情勢調査、というように様々な情報収集の任務も割り振られている。

スラス・キャスラング と 魔族フィリップ

　オッフレング王国の歴史には、少々複雑な事情が絡んでいる。それが"スラス・キャスラング"と呼ばれる連合国家である。ガーランド戦役終結直後、情勢が不安定な南方地域において、オッフレング・ネーゼロング・ミシリング という３つの小王国が連合したもので、その成立は 320年。ディエル・レン・ティトス帝国が成立(321年)する1年前だった。
　３王国は互いに協力し合うこととし、三家持ち回りで連合国の元首を務めるという協定を結んだ。元首は"国王"と呼ぶことにした。何らかの意思を決定する責任者は必要だったからで、オッフレング家が初代の国王となった。翌年の帝国成立後、帝国はオッフレング家に対して"公"の称号を送っている。オッフレング家は これを自分たちだけでなく スラス・キャスラングに委譲し、こうして自治国家として法的にも認められた。

　338年、国王崩御により、次期国王を残り二家のどちらかが務めることになった。ネーゼロング家が務めることで、ほぼ決まりかけていたのだが、突如ミシリング家の当主フィリップが自分への王権移管を求め、遂には兵を挙げるまでに至った。
　残り二家はこの無謀な挙兵に対して立ち向かい、協力してミシリング勢を打ち破った。この時、自らの居城を攻められたフィリップは自害し、居城全体にも火を放った。こうして、ミシリング家は一度も王の座に就くことなく断絶してしまった。

　しかし、事態はこれで終わらなかったのである。

　388年、フィリップを名乗る魔族が突如としてスラス・キャスラング領内に出現した。妖魔を多く引き連れたフィリップの前に二家の兵力は分断され、先に攻められたネーゼロング家の一族は次々と打ち倒された。最後まで生き残ったネーゼロング家の当主(当時の国王)が刺し違えてフィリップを倒したが、これによりネーゼロング家は断絶してしまった。
　協力し合うはずだった三王家は次々と断絶し、とうとうオッフレング家だけが残る格好となったが、スラス・キャスラングという国名はそのままにオッフレング家は国内の再興を始めることとなる。

　438年。フィリップは再びスラス・キャスラングに来襲した。オッフレング家は、フィリップが50年周期で力を高めて訪れることを予期しており、これに備えて ドワーフに依頼して神剣ワレムを鍛えていた。しかし、誰もワレムを抜くことができず、フィリップは国内を荒らし回るのに防戦する一方となってしまった。
　王城が陥落し、国王一人が残ったところで、ワレムは光を発して抜き放たれ、フィリップは刃に貫かれて打ち倒された。オッフレング家はかろうじて断絶の憂き目を免れた。

　488年。またしても復活したフィリップにより、スラス・キャスラングは滅亡の危機にさらされた。この時は、王都を放棄して その都市ごと封印を行うという神紋の秘術により、フィリップの動きを封じたところを、かろうじて王子がワレムで切り裂いた。消え去る間際、フィリップは強力な呪詛を王子にかけた。これにより、王子は全ての魔族に付け狙われることとなった。
　自動的に国王として即位した彼は、呪いにより次々に魔族に襲撃された。ワレムを片手に全ての襲撃を退けてきた国王だが、そんな日々が10年以上続き さすがに消耗してしまった。そして、501年、魔族の襲撃を受けた国王一家は遂に力尽きて倒されてしまい、ここにオッフレング家も断絶してしまった。

　この時、王子に顔がそっくりだったことから、影武者として雇われていたケリングが、誰も抜き身では持てないはずのワレムを手に、王城に現れた。既に国王一家が命を奪われたという報告を受けていた王城は上も下も無い大混乱に陥った。
　ワレムに認められた、ということを唯一の根拠として、ケリングは国王として即位することを請われた。この当時、彼の恋人であったマリエルがディス公国再興を宣言(500年)したばかりだったが、その彼女の力になれる機会と捉えたケリングは、普通ならあり得ないこの申し出を受け入れて、国王として即位したのだった。

　"スラス・キャスラング("３つの旗"を意味する)"という有名無実となっていた国名は、ケリング即位時に"オッフレング王国"に改められた。こうして、その殆どが悲劇に彩られたスラス・キャスラングの歴史は終結したのだった。

　だが、フィリップが打ち倒されたわけではなく、それに備えることが必要であるというのが、ケリング以下重臣たちの共通の認識である。

主な都市

シリアム=オッフレング

セルナーテレス

ヌーヘルス

主な組織・機関

月下美人

幻想世界リアスターグ ＞ 地理 ＞ 南方 ＞ オッフレング王国