幻想世界リアスターグ/地理/中央/命の種子

幻想世界リアスターグ ＞ 地理 ＞ 中央 ＞ 命の種子

• 命の種子

命の種子

　世界的な規模の薬師たちのギルド。エスタフォートに本部がある。"薬師"とは現実世界で言うところの医者であるが、癒しの力を持つというラノス神官たちと異なり、魔法の力ではなく 主に薬草を駆使して疾病を治療する。
　大きな怪我や病気であれば治療には時間を要するが、ラノスの信者でないならば、病気や怪我のとき、まずは薬師の元を訪ねるのが一般的である(薬師が手に負えないと判断したときは、ラノス神官を頼るように勧告するが、それはすなわちかなりの重症であり、緊急事態であることを意味する)。そんなわけで、薬師もしくは その心得を持った者は、どんなに小さな集落であっても一人はいるはずなのだ。

　ギルドに加入したメンバーは、疾病に対する様々な情報を交換できるようになる他、薬草についても、安価で簡単に入手できるようになる。無論、その他 生活に困窮したときのサポートも受けられる。
　ギルドに加入した薬師には、非常に丈夫なベルトが支給される。このベルトは草木の緑色をしており、炎にあぶられても燃えないように加工されている。単に服の留め金として使うだけでなく、彼らの仕事道具でもある薬草を入れた小さな袋を幾つも掛けられる様になっていて、便利な道具として重宝されている。
　メンバーになったからといって、ギルドに加入料などを支払う義務は無い。ただし、自分の元を訪れた患者を例外なく診察し、自分にできる限りの治療を施すことが義務付けられる。もし、これが破られた場合、即座にギルドから脱退させられ、一切の支援が受けられなくなる。リアスターグでは「具合が悪くなったときは緑のベルトをした人のところに行けばよい」と小さい頃から教えられていることが多い。

　ちなみに薬師の技術を持たないが、このギルドに加入しているという人もいる。それは、薬草を実際に採取することを専門とする人々だ。ギルドでは常に薬草の買取を行っており、一般の農家などでも 野原にある薬草を集めて、ギルドに売ることでいくばくかの収入を得るのは珍しくない。しかし、中には非常に危険な場所にしか生息しない珍しい薬草もあるわけで、そうしたものは 危険をかいくぐる能力を持った人でなければ採取は難しい。
　そこでギルドでは"採取者"と呼ばれるメンバーも常に募集している。彼らは、特定の薬草採取を専門としており、そのためだけにギルドに雇われる立場、とも言える。"採取者"には薬師に与えられるベルトと同じ材質の 緑の皮袋が渡される。非常に丈夫で、火にも強い この袋に希少な薬草を集め、彼らは普通の薬草よりも遥かに高額の報酬を受け取る。
　この仕事はさすがに命の危険をもはらんでいる為、"採取者"が不幸にも生還できなかった場合、その者が担当していた薬草の価格が高騰したり、販売制限が行われたりして、入手しづらくなることもある。あまりに珍しいものの場合、常に販売予約がいっぱいになっている・・というケースすらあるという。

　このギルドの運営費用は、ギルドへの寄付によってまかなわれている。エスタフォートといえば、ガーランド王国 ソウマ家の統核都市だが、このソウマ家は"命の種子"に最も高額の寄付を寄せている。これは、かつてのソウマ家の当主シュウヘイが大きな怪我で死の淵をさまよったとき、献身的に介護し治療に当たった薬師への感謝の気持ちとされている。ギルドの形で薬師をサポートするようになったのも、このシュウヘイの全面的な支援を受けてからであり、彼の名はギルドの事実上の創始者として知られている。
　ソウマ家は現在でも、ギルドにおける大きな発言権を持っており、その運営にも深く関わっている。その運営方針は「多少無理をしてでも、薬師たちが全力で患者と向き合えるようにする」というものであり、そのための援助を惜しまない。現在では、ソウマ家だけでなく世界中の有力な国家がこの組織に寄付を行っており、資金的な問題で組織が立ち行かなくなることは、当分無いと思われる。

幻想世界リアスターグ ＞ 地理 ＞ 中央 ＞ 命の種子