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　今は亡きドリームキャストの隠れた名作RPG。FF12なんか目じゃない空賊が楽しめる？

エターナルアルカディア

• エターナルアルカディア
  • いざ進め雲の海
  • 仲間たちとの共闘
  • 爽やかな気持ちになれるストーリー

　ドリームキャストで発売されたオリジナルRPGです。実はその後「エターナルアルカディア レジェンド」というタイトルでGCにてリメイクされているのですが、私は見たことが無いので、ここでは触れません。PS2にも移植される・・という話があったのですが、GC版開発に集中するという理由で中止した、という漢(おとこ)らしいタイトルです。

いざ進め雲の海

　このゲームは空賊一家の息子ヴァイスが主人公です。ヴァイスたちがバルア帝国の戦艦を襲撃し、そこに囚われていた女の子ファイナを連れ出すところからストーリーは始まります。この辺の話の進み方は、かなりベタでお約束に近いのですが、最終的にヴァイスは独り立ちし、自らの船を駆るようになります。

　最初は小さな船かもしれませんが、それでも一国一城の主。大砲などの武装をある程度自由に選択できるようになっているだけでなく、何と言っても外のフィールドを実際にその船で移動するのです。無論、船の性能が上がらなければ進めない場所も沢山ありますが、ストーリーが進むにつれてそうした制限はどんどん無くなっていき、まさに自らの思うがままに舵を取れるようになります。その浮遊感といったら、なかなか他では味わえないです。

　しかも、船はただの移動手段ではありません。先ほど「大砲などの武装を」と書いた通り。これはもちろん飾りではなく、それを駆使して戦うという局面も多数あります。・・というか、いわゆる「ボス戦」というのが、ほぼ確実に巨大な生命体だったり、他の船だったりするので、もう人の手だけでは戦えないという事態に自然になるのです。自分の船より遥かに大きな敵を相手に、果敢に戦うその迫力といったら、なかなか他では味わえません。

　世界の各地には自分の船のクルー(乗組員)としてスカウトできる人たちが沢山います。また「発見物」と呼ばれる隠しオブジェも各地に散らばっています。クリアには何も関係ありませんが、そうしたものを全て発見しようとすると、なかなか大変な作業になります。

仲間たちとの共闘

　このゲームに登場するキャラクターたちは、皆 忘れがたい個性の持ち主です。主人公３人組がそもそも良いキャラクターなのですが、仲間に入る人も、敵になって相対する人も、皆キャラ立ちしているので飽きることがありません。

　主人公ヴァイスと、その幼馴染アイカ、それに救出したファイナが、基本的にはレギュラーメンバーで、さらにストーリーに応じて仲間が１人入る構成になっています。いざ、通常の戦闘となると その４人で戦うことになります。
　その戦闘に面白いシステムが導入されています。各キャラクターはそれぞれが特殊能力を使えるのですが、そのためにはガッツと呼ばれるポイントを消費しなければなりません。このガッツがパーティーで共有なのです。オーソドックスなターン制の戦闘で、ターンの始めにパーティーの能力に応じてガッツは回復しますが、大技は比例してガッツを大きく消費するので、回復などを見越した計画的な使用が求められます。
　このシステムは「皆で協力して戦っている」ということをよく表現できているな、と思います。

　また各地でスカウトした船のクルーたち。彼らもただ乗り込んでいるわけではありません。各人の能力に応じて船の能力が上がります。クルーには幾つか役割が決まっており、１つの役割ごとに２人のクルーを見つけられるようになっています。１つの役割には１人しか就けられないので。２人いる場合はその能力と相談しながらどちらを使うか選ぶことになります(残っている方も船には乗っています)。
　そして、ゲーム中盤以降、ガッツが最大まで溜まった時に使えるようになる大技「バッカニアーズ」というのを使うと、そのとき仲間になっているクルーが全員参加で攻撃を繰り出します。船のクルーとして選ばれていないとしても関係なく攻撃してくれるので、全てをクルーとして雇っていた場合、相当な攻撃力になります。
　みんな仲間、なのです。

爽やかな気持ちになれるストーリー

　最初に書きましたが、ストーリーは非常にベタです。でも「捻りが無い」の一言で片付けるのは勿体無い。きちんとキャラクターを描ききり、仲間になるサブキャラクターたちの葛藤や過去をきちんと清算し、皆が前に進めるようになる・・そういう風にきちんとストーリーを組み立てるのは、かなり難しいものです。このタイトルは、その辺がうまく成功してるのではないか？ と私は思います。
　特にドラクマ船長なんかは、別に「オヤジ好き」というわけではない私でも、胸と瞼が熱くなるシナリオ展開を見せてくれます(ていうか、私、本気で泣いてましたよ)。ファイナ関連の人たちが、少々描き足りないという感はなくは無いですが、まあ、それでもお腹一杯になれるはずです。

　ちと調べてみたら、GC版の「エターナルアルカディア レジェンド」では、さらにキャラクターが追加されているようですねえ。むー、それはそれで見てみたいな。

　このタイトル、DCと GCで埋もれるには非常に惜しいんですよねえ。PS2版を中止してまで、GC版の開発を進めたのには、何か理由があるのですかねえ。大人の理由ですかねえ。Wiiなら GCのソフトはプレイできるので、恐らく安くなっているはずの「レジェンド」はプレイしてみる価値があるかもしれませんよ？ 個人的には是非見て欲しいタイトルですねえ。