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銀の神殿

　中庸神タナルスの教団総本山。魔道大戦の頃から この地に神殿を構えており、後に学術院エレンヴァースが併設された。現在 使用されている建造物としては最古といってもよく、その最深部には魔道大戦の被害から守られた貴重な文書が残されていると噂されている。

　タナルス教団はいわば記録者の集団である。彼らは公正中立な立場から世界各地で起こった出来事を記録し、それを後世に残しているのである。だから、"銀の神殿"とはそうして残された様々な記録を保管する巨大なライブラリでもある。

タナルス教団

　タナルスは至高三神として現れたラノス・ダスタムの両極端を支える中立の立場にある神である。教典は "悠時承憶" と呼ばれる。バランスを常に保った姿で描かれる天秤をシンボルとしている。
　タナルスに祈りをささげるときは、手のひらを合わせて合掌するのが基本の姿勢となる(略式では片手だけを同じ姿勢にする)。

　タナルスは記録を残し、その記録を活用する知識の神として崇められる。それゆえにリアスターグで最高の学府である 学術院エレンヴァースが この神殿に併設されるように建築されたのも決して偶然ではない。
　豊富な知識を持つことから、タナルスの神官は 裁判官に近い立場としても認められている。様々な揉め事の仲裁や、犯罪者の量刑などが彼らの役割でもある。

　タナルスの信者に課せられる最も大きな戒律は、自分が見聞きしたものの記録である。タナルス信者は自由に文字の読み書きを教えられ、一通りの字を覚えた証として、何も書かれていない真っ白な書物を与えられる。以後、信者は そこに自分の見聞きしたものを記録していくのである。タナルス信者が人生を全うしたら、神殿に その書物は奉納され、教団が蓄積する知識の一部となる。
　文字を覚えることにより、信者の多くは何らかの学問を学ぶことも覚え、"銀の神殿"に隣接する 学術院エレンヴァースで学ぶ道を選ぶことも多いという。

　神に仕えることを全てとして教団に属する者たちは "銀神官"と呼ばれる。彼らはみな優れた教師であり、信者たちに文字や基本的な学問を教える役割も持っている(無論、信者以外の学ぶ意思を持つ者にも喜んで教える)。
　さらに上位の神官は "銀の秤手"と呼ばれる。彼らは神殿に奉納された信者たちの記録などの文書を保守整理することを役割としている。その深い知識は国家を支える人々が助言を求めるほどである。
　また世界各地を旅して、そこに起こったことを記録することを役割とする "修道僧"も タナルス教団の上位の神官として知られる。彼らはその立場になった瞬間から、神殿に彼らの名を冠した書物が安置される。そして、彼らの見聞きしたことが自動的に書物に書き記されるという。ただし、その中身は本人が死ぬまで決して開かれることは無い。"修道僧"は各地を旅することから、教団の伝令としての役割も持っている。
　タナルス教団には最高責任者の立場を占める役割は無い。だが、各地域にある大神殿の責任者を務める "銀の秤手"が合議で教団の行く先を定めることとなっている。

　タナルスの神殿は北方の "銀の神殿"以外にに、各地に１つずつ建てられていて、それぞれが "大神殿"と呼ばれている。信者たちは最寄の大神殿に自分たちの記録を安置されることになる。都合５つの神殿があることになるが、これらの神殿は魔法的な移動手段により結ばれていることが知られている。この移動手段は "銀の道"と呼ばれており、利用するためには、"銀の秤手"の許可が必要とされる(緊急時と判断されれば、割と使用は許可される)。
　また、神殿というほどではなくても、いわゆる教会とでも言うべき建物は たいていの街に建てられている。これは "学舎"と呼ばれていて、管理するのは 銀神官の仕事となっている。

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